しえんほうについて
支援法って?
「しえんほう」と私たちが呼ぶのは、「原発事故子ども・被災者支援法」のこと。
「支援法」と名前のつく法律はたくさんありますが、これは、東電福島第一原発の事故によって被害を受けた人、影響を受ける人、中でも子どもたちに対する支援をうたった法律です。
この国には、原発事故が起こった時に、放射能から人々を守る法律がなかったのです。そこで、多くの被災者、法律家を含む支援者や支援団体、そして国会議員が力を合わせ、この法律が生まれました。
「子ども」を対象にしているのは、放射線による健康への影響は大人より子ども(そして胎児)のほうが大きいと言われているからです。条文では、「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」からこそ、その影響を未然に防ぐ支援が必要であること、その支援は、国の責任で行うことが明記されました。
今回の事故でまき散らされた放射能から私たちの子どもを守るために国がするべきことを定めた法律、それがこの「しえんほう」なのです。
いくつもの条文の中で、大切な部分を抜き出すと、以下のようになります。
◆『当事者の意見』:被災当事者の意見を反映させ、透明性の高いものとすること
◆避難の権利:「居住」「移動」(避難)「帰還」を自らの意思で選択できるよう
支援すること
◆内部被ばく:これまで法律にはなかった、内部被ばくについても取り上げていること
◆子ども・胎児(妊婦):子ども・胎児(妊婦)の健康被害を未然に防止するために
配慮すること
◆証明するのは国:「被ばくの影響ではない」と国が証明できる傷害・疾病以外は
医療費を減免すること
あたかも、子どもたちを被ばくから守るための「憲法」のような気がします。
この法律は、全国会議員の賛成のもとに成立しましたが、各党の合意の過程で削られた部分など、弱点もあります。
理念を定めただけで、具体的内容(期日、予算など)が盛り込まれていません。
とりわけ、どの地域に住んでいる(いた)人を対象とするかを指し示す「支援対象地域」などを定める「基本方針」が盛り込まれず、成立後は復興庁に委ねられることになります。
ところが、1年たっても「基本方針」が決められず、私たちも集会を開くなどして抗議してきました。まったく動きの見えない中、「基本方針案」が突然発表されたのが、8月30日。一度も公聴会などの当事者の意見を聞く場がないまま作られました。
そして、その突然の発表の夜から、たった2週間という短い期間のパブリックコメントがスタートし、被災当事者の意見を聞く場とされました。
私たちは、この法律を動かしていくために、「原発事故子ども・被災者支援法市民会議」(以下、市民会議)に加わって活動してきました。
これは、法制定直後に立ち上がった、「原発事故子ども・被災者支援法ネットワーク」(日弁連・JCN・市民会議による。以下、ネットワーク)の構成団体で、50以上の当事者や支援者による団体がつらなっています。
市民会議では、この間、毎月会議を重ね、ネットワークとも連携しながらフォーラムや学習会、被災者のヒアリング、国会議員へのロビーイングなどを、進めてきました。
復興庁を招いての場も何度も設けてきました。ところが、今回出された基本方針案には、その内容がまったく反映されていないのです。
この「しえんほう」を、私たちが望む、ほんとうに子どもを守るための法律として動かしていくために、みなさんの注目と声が必要です。このサイトでは、ぜひ取り組みたいアクションを提案していきます。