なぜ大事?
■ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告では、人工放射線による年間追加被ばく限度が「1ミリシーベルト」。 これは、日本政府が準拠してきた基準です。(自然放射線をのぞく)
日本では、東海村JOC事故の際の健診の範囲や放射線業務従事者に係る線量限度などいろいろな法令でも「1ミリシーベルト」が採用されてきました。また、チェルノブイリ事故後につくられた現地の法律でも採用され、「移住の権利区域」と呼ばれ、国の支援のもとに移住できることになりました。
年間1ミリシーベルト以下でも、胎児や子どもを中心に、がんや白血病のほかにも、心臓病や内臓疾患をはじめ、健康へのさまざまな影響を受けるリスクがあるとされています。また、未来世代への影響も危惧されています。
低線量の長期にわたる被ばくの影響は、まだわからないことが多いからこそ、できるかぎり被ばくを避けるためにも「1ミリシーベルト」の基準を守ることが大事なのです。
今の状況は?
■事故によって放射能汚染は日本各地に広がり、東日本の
広い範囲で、年間「1ミリシーベルト」の基準を超え、
多くの子どもたちがそこで生活し続けています。
事故以降、国が「1ミリシーベルト」の基準に沿わず、避難や帰還の地域を設定してきました。
年間5ミリシーベルトは、一般の人が立ち入りも規制され、飲食もできない「放射線管理区域」にあたる線量ですが、そこで生活し、学校や園に通っている子どもたちへの影響が心配です。
何が問題?
■高汚染地域に住んでいる人への健診や除染、
保養や避難など、あらゆる支援が必要です。
とくに、子どもたちには、汚染された地域から離れて過ごす「保養」や
長期の「移動教室」など、被ばくを軽減する支援が重要です。
■自主的に避難した人への支援が必要です。
被ばくから子どもを守ろうと避難しても、生活が成り立たないために苦
しんでいます。不安を抱えながらも「帰還」する人が増えてきました。
■初期被ばくの影響を軽減するため子どもたちへの
健診が必要です。
東日本の広い範囲で初期被ばくの影響が懸念されています。チェルノブイリでは
27年たった今も、原発から遠く離れた広い地域で、さまざまな健康問題を抱えた
子どもが増えています。「予防原則」に基づいた対応が求められます。
■食品安全基準値100ベクレルを見直すことが必要です。
東日本の広い範囲で初期被ばくの影響が懸念されています。チェルノブイリでは
27年たった今も、原発から遠く離れた広い地域で、さまざまな健康問題を抱えた
子どもが増えています。「予防原則」に基づいた対応が求められます。
必要なことは?
■被ばくの限度、年間「1ミリシーベルト」を守るために、
避難・移住の支援、保養、健診、食品及び
土壌のきめ細かい測定など、あらゆる対策と支援が必要です。
2012年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」では
「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」からこそ、
避難や移住を選ぶ人も、住みつづける人も、もどる人も、どの人も、
国の責任で必要な生活支援を受けることができる、と認められました。
しかし、期待された多くの支援は、基本方針で認めらず、手つかずのまま。
法の理念からは、ほど遠い施策になっています。