全国ネットワーク設立への想い。
原発事故という未曾有の問題に直面した、2011年3月。
4月、5月、続々とインターネット上に放射能情報サイトが立ち上がり、地域の会が動き出しました。 その勢いに背中を押され、活動経験もない母親や市民が、子ども全国ネット立ち上げに向けて集まりました。
そこで「全国でつながろう!」とHPで呼びかけたところ、たった10日間で100余りの団体がネットワーク団体として登録、700を超える賛同の声が届いたのです。
そして迎えた7月12日のキックオフミーティング。たくさんの参加者と報道関係者で埋まった会場は「いまこそつながって、子どもたちを守ろう!」という熱気に溢れていました。
その後ミーティングを重ね、各団体が取り組んでいた放射能に対する活動、たとえば、園・学校や議員との交渉、自治体への要望書提出や署名集めなど、その試行錯誤の過程を共有できました。また、放射線計測・福島支援・疎開保養・市民測定所開設・行政や議員交渉食の安全など、 それぞれのテーマでの動きも生まれてきました。
子ども全国ネットは、各地の団体がつながるための「場」。ここで呼びかけ、ネット上で情報を広げ、 多くの賛同を集めることができます。
また、地域をこえた団体がつながってアクションを生み出すことも。具体的な方法や知恵も共有しながら、一歩ずつ前進させています。
私たちは、歴史に学び、海外からも学び、将来あってほしい社会や世界の有りようを思い描きながら、「あきらめない。休んでもいいから、やめない。そして、福島の現状を忘れない」を合言葉に、放射能から子どもと未来を守っていきましょう。
持続性のある活動へ。
事故から7年経ちました。
これまでも放射能の問題はその情報と関心の度合いの格差が大きく、不安を抱える人たちの孤立化や家族間の対立など、健康被害だけではなくたくさんの問題を孕んだまま解決への道ずじも不透明な状態です。
自主避難した母子家庭への住宅支援の打ち切りによる避難者の困窮、孤立の問題、また、子どもの甲状腺検査にあるように、通常の何十倍もの確率で甲状腺がんか見つかっています。しかしながら未だに国は原発事故の影響であることを認めようとはせず、近県を含む広域での健康影響について、全く対処されていません。
食品や自然環境への放射能汚染についても、福島県内だけではなく近県から取れる山菜やきのこのへの汚染、生態系への影響がデータや調査によって明らかになってきています。
事故から数年経った現在、事故は収束し、あたかも放射能の影響はなくなったかのような社会の空気があります。
しかし、チェルノブイリの経験から明らかになったように、放射能汚染による環境汚染や健康被害は、時間とともにその影響が現れて来ることがわかってきました。チェルノブイリでは事故から30年たった今でも、健康調査と保養の活動が続けられています。
日本においても、この保養活動(子どもたちが汚染地域を離れて、健康を取り戻すための取り組み)は今でも全国で展開されており、全国各地に立ち上がった放射能市民測定所では、本来であれば国がやるべき土壌測定を続け「みんなのデータサイト」で測定データがまとめられています。
全国ネットワークに参加した団体も事故直後の当初の目的を終えて、活動を停止・解散した会もありますが、原発事故によって気付かされた様々な社会課題に対して目覚め、多様な活動に発展しながら継続している会もたくさんあります。
チェルノブイリ法に見習い、日本でも「原発事故子ども・被災者支援法」が施行されましたが、結局その理念は全く反映されず骨抜きにされ、ほとんどの支援は実現できませんでした。
子ども全国ネットは、長く続くであろう放射能の影響から子どもたちを守るために、全国で取り組んでいる団体・個人と繋がりつつ、国内外の知見を集め学びあいながら、これからも継続的な活動をめざし取り組んでいきます。
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